第4回 懸賞で現金が当たったら税金を払わないといけないの?
懸賞で賞金として現金100万円当たったら、こんなにうれしいことはないと思います。

だけど懸賞で現金が当たると一時所得となり、税金(所得税)がかかります。もし税金を払わなかったり、ごまかしたりすると所得税の過少申告または無申告とみなされ、重加算税や延滞税が課せられることになります。もし黙っていても、懸賞の主催者側から税務署に支払い調書がいくので必ず見つかります。税金はちきんと収めましょう!
現金のほかにも商品券や旅行券、さらには車や貴金属類にも税金がかかる場合があります。その辺については税務署に相談されるとよいでしょう。
参考までに懸賞で現金50万円、100万円及び1,000万円が当選した場合の税金額について述べたい思います。
現金50万円の場合
懸賞で得た現金は一時所得となり所得税が課税されます。一時所得は、
{(懸賞で貰った現金の金額 − 応募するために掛かった経費[例 はがき代 など])− 50万円} × 0.5
が課税対象金額となります。現金50万円が当たった場合は、仮に応募するために掛かった経費を0円とすると、
{(50万円 - 0) - 50 万円} × 0.5 = 0円
となりますので税金を納める必要はありません。
つまり、懸賞で当たった金額が50万円以下の場合には、50万円の特別控除が認めらていますので確定申告は必要ないということです。(サラリーマンの場合、給料以外の所得が20万円未満なら非課税となりますので、90万円未満の当選金なら確定申告は不要です。)
{(90万円 - 0) - 50 万円} × 0.5 = 20万円
現金100万円の場合
懸賞で現金100万円を得た場合には、
{(100万円 - 0) - 50 万円} × 0.5 = 25万円
が課税対象となります。
仮に、年収500万円のサラリーマンが懸賞で現金100万円を獲得したとすると、課税所得は次のようになります。
年収500万円の場合の給与所得控除額は、年収×20%+54万円ですので、
給与所得控除額 = 500万円 × 20% + 54万円 = 154万円
したがって給与所得の金額は、
給与所得の金額 = 500万円 − 154万円 = 346万円
この給与所得の金額から、基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除などの所得控除額を差し引きます。家族構成は夫婦と子供2人とすると、平均的な所得控除の合計額は、
基礎控除 38万円 + 配偶者控除38万円 + 扶養控除76万円 + 社会保険料控除60万円 + 生命保険料控除10万円 = 222万円
となります。したがって、給与所得に対する課税所得金額は、
給与所得の金額 346万円 − 所得控除の合計額 222万円 = 124万円
通常、サラリーマンの場合、この課税所得金額 124万円に対して5%の所得税が掛かります。
所得税額 = 124万円 × 5% = 6万2,000円
となります。
懸賞で現金100万円が当たった場合、給与所得と一時所得を合算して課税所得金額を計算しますので、
給与所得に対する課税所得 124万円 + 一時所得に対する課税所得 25万円 = 課税所得金額 149万円
この課税所得金額 149万円に対して5%の所得税が掛かりますので、
所得税額 = 149万円 × 5% = 7万4,500円
となります。
年収500万円のサラリーマンの場合、7万4,500円 − 6万2,000円 = 1万2,500円の所得税がプラスされます。
現金1,000万円の場合
同様に、現金1,000万円が当選した場合の所得税を計算してみます。現金100万円の場合の時と同様に、年収500万円のサラリーマンで、家族構成は夫婦と子供2人とします。
一時所得については、
{(1000万円 - 0) - 50 万円} × 0.5 = 475万円
が課税対象となります。したがって、給与所得と一時所得を合算した課税所得金額は、
給与所得に対する課税所得 124万円 + 一時所得に対する課税所得 475 万円 = 599万円
課税所得金額が599万円の場合、20%の所得税が掛かりますが、42万7,500円の控除額があります。
所得税額 = 599万円 × 20% − 42万7,500円 = 77万500円
年収500万円の方の場合、約71万円が現金1,000万円の一時所得に対する所得税となります。
ちなみに、年収1,500万円(課税所得970万円)のサラリーマンの所得税は166万5,000円万円です。年収1,500万円のサラリーマンに、現金1000万円の一時所得があった場合の所得税は323万2,500円です。年収500万円のサラリーマンがプラス約71万円の所得税に対し、年収1,500万円のサラリーマンはプラス約157万円の所得税となります。
実際、控除などにより減額されることもありますので、税理士や税務署などに相談されるのがベストです。
もし現金1,000万円が当たっても、懸賞の主催者側で源泉徴収するため、あなたが受け取ることのできる金額は所得税を引いた金額、およそ900万円程度となります。ちなみに当選金額と当選者の所得によっては、確定申告をすることにより源泉徴収分が還付されることもあります。
(注意)所得税のほかに住民税の支払いが必要です。確定申告をすれば、税務署が申告内容を市区町村に通知するので、住民税の申告をする必要はありません。所得税については年間所得が20万円以下なら非課税となりますが、住民税については収入の額に関わらず申告が必要です。